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文化的消費活動の日記

『日本の夜の公共圏: スナック研究序説』

 

日本の夜の公共圏:スナック研究序説

日本の夜の公共圏:スナック研究序説

 

法学、行政学政治学、文学などさまざまな分野から集まった研究者たちによる「スナック研究」の論文集。以前に編著者のひとりである谷口功一のインタヴュー記事かなにかをネットで読んで気になっていたのだが、ちょっとこれは期待ハズレだったかも。「スナック研究序説」だからこんなものなのか……。スナック研究と題しながら正面を切ってスナックと向き合っている論文が少ない。

たとえば、「スナックにいくとヒューマンスキルがあがる」みたいな言説に対して、国学儒学の思想の中にも同じ考えが見いだせる……(本居宣長の名前がでてきたりする)という論文。スナックから本居宣長へ、という意外な跳躍に最初驚きこそすれ、読んでいて「無理やりつなげてるだけじゃない?」と思ってしまう。Amazonのレヴューにもすでに同じことが書かれているが、集められた研究者が書ける範囲でスナックと自分の関心領域をつなげてひねり出してるだけじゃないのか、と。

都築響一が登壇した座談会が一番面白い。というか「こういうのが読みたいんだよ」というニーズにマッチする。スナック未経験者であるわたしからすれば、あの外から中が伺いしれない空間、カラオケの音が外に漏れ出したりするあの空間には、なにがあるのか、どういう空気が流れているのかが気になるのであって、本居宣長が、とか永井荷風が、とかじゃないんだよ、と。