sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

『よくわかるやきもの大事典』

 

 大変良い本。類書はいろいろあると思うが、日本の各窯元の歴史から現代に販売しているものの特徴や、食事を盛り付けた際の使用例をフルカラーで紹介し、さらには中国・朝鮮・ヨーロッパの陶磁器まで取り上げている(これで中東の陶磁器までカバーしていたら120点だった)。とくに窯元の歴史での記述では、生産された陶磁器の主な消費者が誰だったのかを細かく書いているのが良かった。たとえば17世紀後半にオランダ東インド会社によって盛んにヨーロッパに運ばれた伊万里柿右衛門。そのデザインがマイセンで模写されて……といった東西の交流史が面白い。写真も多いので陶磁器の文様に狩野派の意匠が組み込まれていくのがわかったりして良い。あと尾形乾山尾形光琳と兄弟だったと知って、その兄弟すごすぎ、って思った。