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文化的消費活動の日記

仲正昌樹 『ヘーゲルを越えるヘーゲル』

 

学生時代にアドルノで卒論を書いたり、今もラカンのつながりがあったりで、トライせねば、みたいなことを常々課題として感じているのだが読んでも全然わかった気にならない、それがわたしにとってのヘーゲルで、もちろん、入門書の類にもアクセスしたうえで「これは生理的に無理なやつなのでは(読んでるとめちゃくちゃ眠くなるし)」とさえ思う存在なのだけれど、この本は大変勉強になった。主に現代の思想家がヘーゲルをどう受け継いだのかを丁寧に整理している本。逆引き的にヘーゲルも「そうか、そういう話だったのか!」みたいな理解が深まる。ラカンと(コジェーヴを経由した)ヘーゲルの関連など個人的に課題と思っていた部分にも言及があり助かりまくる。「あとがきに代えて」の部分でまた著者の性格がでててすごいのだけれど、現代思想にトライする前に読んでおいて損はない準備体操的な一冊だと思う。