sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

金継ぎで最低限なにを買えばいいか教えます

 
 
 
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先日より夜な夜な金継ぎをやっていて、インスタに作業記録を載せている(写真は昨晩、金粉(本当は真鍮粉)を蒔いた直後の茶碗)。さっき友達から興味がある、と言われたんで、最低限なにを買えば良いか以下にまとめておく。持ってるけど、別にいらないや、っていうのも書いてます。はじめに言っておくとそこそこモノは増えるし、道具揃えるだけで1万ぐらいはかかります。でも、楽しいですよ。

追記: ものすごくこだわりがあるわけではないですが、以下で紹介している入門書やサイトでは本物の漆を使った金継ぎの方法を紹介しているため、わたしもそれにならって天然漆を利用しています*1

入門書

 最近の本だとこの本がよくまとまっている。これ一冊を軽く読んで全体像を掴んだ上で細かい部分はWebサイト「金継ぎ図書館」で調べると良いと思う。とくに麦漆や錆漆の作り方はこちらのサイトのほうが細かく出ている。

hatoya-f.com

漆関係

生漆(きうるし)

生漆(きうるし)

  • 漆芸 あちゅーる
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 接着剤となる麦漆や、細かい傷や欠けを埋めるパテのような役割を果たす錆漆のベースとなる漆。漆は使用期限があるので少量を買うのが良いと思う(そんなに量を使わない)。

黒呂色

黒呂色

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黒呂色漆は、麦漆や錆漆で直した部分をカバーするための黒い漆。『おおらか金継ぎ』には金粉を蒔くベースとして「弁柄漆を使う」と書いてあるが、自分で直す分にはそんなにこだわらなくても良いと思う。そこそこ値段するし、使い切れない漆を抱え込むのももったいないし。 

 錆漆を作るのに砥の粉が必要。保存用になんかジャムのビンとか用意すると良いと思う。

木屎漆(大きく欠けた部分を埋めるためのパテ)を作るのにおがくずが必要。大きな欠けがあるものは直さないってことならいらない。2〜3mmの欠けなら錆漆で直せます(直せました)。

 テレピン油は漆の希釈や掃除などに使う。量は250mlぐらい買っておくと良いと思う(同じ製品で55mlの瓶もあるがいろいろ使う機会はあるので)。

あと麦漆を作るのに強力粉がいるが、それぐらいは台所にもあるだろう。

筆とかヘラとか

できるだけ細い筆が良い。「インターロン 水彩筆 417-0 丸・長穂 0号」は「金継ぎ図書館」でもオススメされていた。面を塗るケースってそんなにないと思うので、とりあえずこれ一本あれば良いと思う。面を塗る場合は、もうちょっと太いやつを買えば良い。 

錆漆や麦漆を塗るためのヘラ。割り箸を削って自分で作ったり、爪楊枝を使っても良いと思うが、面倒くさいので買った。

 錆漆や木屎漆を作るときに使うヘラ。2枚使ったほうが作業は楽。 

 漆とかを乗せるキャンバスがわりのガラス板。ブラスティックの板とかで代用すれば良いのかもしれないが、掃除のことを考えるとガラス板を準備しておいたほうが良い。金継ぎ用のガラス板っていうのがネットで探してもなかったのでレザークラフトで革を磨くときに使うガラスを試しに買ってみたら、厚さ、大きさともにグッドな感じだった。

金粉 

ふぐ印金粉小目

ふぐ印金粉小目

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 金じゃなくて真鍮だけど(本物の金はめちゃ高い)。

毛棒 小

毛棒 小

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 金粉を蒔いていくときに真綿を使え、と書いてあるが、あしらい筆で作業したほうが楽な気がする。

金を蒔いたあとに最後磨きの作業で使うヘラ。正直磨き作業もマストと思わないし、なくても良い気がする。 プロっぽい人は鯛の歯を使って磨く道具をつくるそうです。

その他の必需品 

漆が手につくとかぶれる可能性が高いのでゴム手袋は必須。作業しやすいようにサイズがあったものにしたほうが良い。 パウダーフリー(粉なし)のものを使うこと(粉が漆と反応するらしい)。

 はみ出してる錆漆とか漆を磨くのにサンドペーパーが必要。400番と800番があれば良い。そんなに減るものでもないのでホームセンターで1枚ずつ買ったほうが良いかも(Amazonだとバラ売りしてない?)。 

マスキングテープ。なかったら買ってください。錆漆を塗るときははみ出すとあとからキレイにするのが結構ダルいので初心者はめんどうでもマスキングしたほうが良い。接着時の固定にもつかうのでいろいろと用途はある。

作業時は机が汚れないように新聞紙や掃除用にティッシュが必要だが、それも家にあるだろう、と思う。あと筆を洗うときに食用油をつかう(普通にサラダ油で良い)。これは瓶の蓋(桃屋食べるラー油ぐらいのサイズ)に入れて作業すると便利。あとカッター(はみ出した漆を削ったりする)ためにペン型のデザインカッターがあると良いかもだが(というか買ったが)、これも普通にカッターナイフとかで良い。あと綿棒ね。これも家にあるでしょ。

あると便利なもの

器の接着面の面取りをしたりするのにリューターを使う。USB充電できるのが3000円しないで売ってる(すごい時代だ)。面取りしないっていう人もいるらしいので、これも好みの問題だと思う。薄めのガラスも面取りなしで接着できたので、麦漆ってかなり強力な接着力があるみたい。面取りをしたほうが、ただ仕上がりをキレイにすることはできるんだろうな、と。壁に小さい穴も開けられるし、一家に一台あっても良いんじゃない! とは思う。

 テレピン油を瓶から出したり、錆漆や麦漆を作るときに水をだしたりするのにあると便利。1mlか2mlの小さいやつで良いです(そんなに高いもんじゃないから水用とテレピン油用とで2本あっても良いかも)。とくにテレピン油を出すには瓶からドバっとでてくることがなくなるので作業のストレスがなくなる。

あと工具箱ね。これこそ全然いらないんだけど、道具一式を詰め込んでおくと雰囲気がでて良い。子供がいる家庭は、触られたくないものを箱に全部しまって、手が届かないところにおいてほうが良いですね。

 漆を乾かすのに器と一緒に濡れたタオルとかキッチンペーパーとかを段ボールにいれて保管するのだけれども(加湿・防埃のため)、その際、バットと網があると良い感じ。網とバットのあいだにタオルハンカチみたいなのを濡らして敷いて、そのうえに器を置く。するとタオルを取り出してもう一回濡らすときに便利。

漆を乾かすための漆風呂の湿度をチェックするために湿度計があったほうが良いんだろうけど、そんなに厳密にやらなくても平気です(平気でした)。濡れタオルいれときゃ乾いてます。

作例

 
 
 
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ガラス作家の人(たしか西山芳浩さん)のグラスを銀粉で仕上げた(金でやったほうが良かったと思うし、磨き作業中に一部、銀粉が禿げた)。だいたい2週間ぐらいかかるが、ほぼ漆が乾くのを待つ時間。作業自体は合計で2〜3時間ぐらいだったと思う。たくさんの器を一気に直したほうが当然効率は良いが初心者は一個一個やって、いろいろ反省しながら進めるのが良い。なれると道具を準備して、片付けまでパパッとできる。

 
 
 
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沖縄で買った小さい徳利の割れと、作家さんの名前は忘れたが釉薬が剥げ(ほつれ)ていたのを直した。徳利は2週間ほど。ほつれの直しは1週間ほど。

*1:ブコメで「新うるし」と呼ばれる合成塗料を使った金継ぎキットを紹介されている方がいたので付記しました