sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

神谷俊 『遊ばせる技術: チームの成果をワンランク上げる仕組み』

自走力・自律性が高いメンバーを増やすマネージャーの振る舞いや、そのようなメンバーを育てるための組織設計に関する本。Covit-19によるテレワークへの移行にともなった生産性減の問題をひとつの切り口にしているのだが、疫病を抜きにしても大変有益な内容。自ら興味をもって仕事に対する新しいアクションを試みたり、改善を生み出すメンバーを分析すると「はじめは興味がなかったが、あるきっかけから動き出したらどんどん興味が湧いてきて……」というようなストーリーが見いだせる。興味があるから動き出す、ではなく、動いたから興味が生まれる、という逆転。そういうことってあるよね、と思うし「自分がなにに興味があるのかわからない」みたいなタイプの相談に対する返答例としても良いと思う。

仕事を自分に合うように変化させていくこと。その結果、自分が楽しく仕事をするようになっている。これが自律レベルを高めるための大原則です。自分を軸に仕事を調整する。このようなスタンスで自律を考えることが大切です。

仕事における自律のために最も重要なこととして、自分に仕事の方を合わせていく」ことが挙げられている。あー、そうだよね、ずっとそういう風にしてきたな、自分は、と思うし、いま一緒に仕事をしていて楽なメンバー(そして前向きで楽しそうなメンバー)の特性としてもこの特徴が見いだせる。

マネジメントの実務的なHow Toもさることながら、自己分析の面でも面白い。働くことなんて基本的に嫌いだし、できれば働きたくないと思っている(ずっとのんびり音楽を聴いたり、本を読んで過ごしていたい、義務感に駆られてなんらかのアウトプットなんかしたくない)と思っている自分に、どうして仕事が楽しい、と思える瞬間が発生しているのか。その答えを本書に見いだせるような気がした。