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文化的消費活動の日記

蓮實重彦 『ショットとは何か』

 

「ショットとは何か?」と問われながら、その問いに対して真正面に「ショットとは◯◯である」という断定や定義を避けながら、あくまでも脱-理論的にショットについて物語ろうとする著作。蓮實重彦の映画関連の本のなかでもおそらくは最も読みやすいものであろうけれど、そのヌルヌルとはぐらかすように進む語り口に大部分が「結局、ショットとはなんなのか」と思うに違いないのだ、けれども、スクリーンに映し出されたものを事細かに言葉にする先生の眼、それだけでも楽しいし、他の映画批評家や映画について物語った哲学者に関する悪口にもニコニコしてしまう。