sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

2023年11月29日、あるいは日本画

4時半に起きる。夢のなかで東急電鉄のDX担当者の中途採用面接を受けていた。かなりリアル。

民クルの新譜を聴く。過去作よりもずっと重厚だ。まるで70年代のマイルス・デイヴィスのような瞬間さえあるし、冒頭のリズムボックス的な打ち込みからして訛っている。ピノ・パラディーノみたいに伸び縮みするベース・トラックのうえで揺れ動く民謡ヴォイス。最高。

朝イチで年末調整。会社が変わったので今年度はfreeeの年末調整だったのだが保険料控除証明書のデータ取り込みに対応しておらず驚く。SmartHRのほうが圧倒的にUXが良い。散々転職してきてるのに「転職してたら確定申告は必須」という嘘に騙されており、ふるさと納税のワンストップ特例申請を漏らしていたことに気づき、うんざりする。余計な確定申告が増えていた。

昼に5km走る。かなり良いペースで走れたが最後の1kmで信号待ち、そこから失速した。

うんざりすることばかりだが、そんななかで感じが良い人とお話する機会があり、救われる。

ポーラ美術館のオンライン・ショップで注文していた「シン・ジャパニーズ・ペインティング」展の図録が届いていたので目を通す。美術館直販だと1000円以上送料がかかったが、普通にAmazonで買えた……。画家の荒井経が寄せている文章が大変勉強になる。自分もちゃんと理解していなかったのだが、近代日本画史の作られた伝統的/編集された歴史を意識させるもの……つまり、岡倉天心にはじまる近代日本画の歴史世界では、最初からずーっと岡倉天心一本の歴史になっているのだが、実際には岡倉天心が創設に関わった東京美術学校(いまの東京藝大)では橋本雅邦と川端玉章というツートップの先生がおり、岡倉天心東京美術学校を辞任した際には橋本は岡倉についていき日本美術院へ、川端はそのまま東京美術学校に残る、という分裂がおきる。これが院展/官展(日展)というふたつの流れを作り、戦中までメインストリームは官展派だった、ということなのである。それが1944年、横山大観院展派)のロビー活動によって東京美術学校の改革がおこなわれ、川端の流れを組む先生たちが一斉に辞任し、変わりに橋本の流れを組む院展派の教授たちが着任する。その後、今日に至るまで藝大の日本画の先生は院展派の人、ということらしい。官展(日展)派がメインストリームだったのは東京美術学校〜東京藝大の歴史のおよそ1/3にあたるのに、その後の編集された歴史では、なんかそのへんの行ったり来たりがなかったことにされている、みたいな話を荒井は指摘している。

展覧会の感想はInstagramに書いた。