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文化的消費活動の日記

リチャード・E・ルーベンスタイン 『中世の覚醒: アリストテレス再発見から知の革命へ』

著者のルーベンスタインは紛争解決、公共問題の専門家が書いたギリシア〜中世までの思想史。なかなか密度がある本なので読むのも大変だと思うのだが、この時代/ジャンルを取り扱った一般書のなかではかなり読みやすいと思う。思想家のバイオグラフィーを絡めながらその思想について解説し、理性と信仰の関係性の変遷、というキーで一本のストーリーにまとめている。筆者の想像力で場面描写や思想家の心理描写をおこなっている部分もあるので「どこまでホントなの」って思う部分もあるのだが、そういうほうが読みやすい人もいるのであろう。初期近代にいたるまで西洋の知の基盤であったアリストテレスの思想がどのような経緯でヨーロッパで再発見されるにいたったのかを一般書で取り扱っているものも多くないはずなので「中世哲学入門」にも良いのかも。