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文化的消費活動の日記

クラウス・リーゼンフーバー 『中世思想史』

全集とかシリーズものの本を買うと、ちょっとした冊子みたいなのが挟まってあって、解説とかエッセイみたいなのが掲載されていることがあるでしょう。この『中世思想史』は平凡社が出している中世思想の特集シリーズ本「中世思想原典集成」(索引含みで全21巻)に挟まってたテクストを集めて1冊にした本。2世紀からルネサンス・初期近代あたりまで、1冊で1500年分ぐらいを射程に収めた大変な内容である。

タイトルに「思想史」とあるが、思想・哲学だけでなく、思想家・哲学者をとりまく環境(経済状況・政治状況)あるいは文学や音楽などの文化にも触れられていて大変勉強になる。もっとも内容的には初学者向けではなく、ある程度哲学(とくにプラトンアリストテレス)そしてキリスト教に馴染みのある読者が「中世ってよくわかんないんだけど……」っていうときに道標になってくれるであろう。ヨーロッパのみならず、イスラーム世界やユダヤ哲学もカヴァーしているし、ギリシア教父とかラテン教父とか、哲学に興味があって本を読み進めていても、どうアクセスしていいか全然わからない人たちにもアクセスできる。個人的には、本書を読んでアンセルムスって面白そう、って思った。