#beercritic キリン / Grand Kirin JPL グランドキリンシリーズのリニューアル。JPLはジャパンペールラガー、とのこと。毎度期待を裏切らない仕上がり。
#beercritic キリン / Grand Kirin IPA 期待していたが、これはちょっと物足りない。苦味が穏やか過ぎて、IPAではない。旨いのだが看板に偽りあり、を感じる。
グランドキリンのIPAは期待値が高まりすぎて、やや拍子抜けだった。あと500mlの缶でも出してもらえないものだろうか……。
#beercritic キリン / Grand Kirin JPL グランドキリンシリーズのリニューアル。JPLはジャパンペールラガー、とのこと。毎度期待を裏切らない仕上がり。
#beercritic キリン / Grand Kirin IPA 期待していたが、これはちょっと物足りない。苦味が穏やか過ぎて、IPAではない。旨いのだが看板に偽りあり、を感じる。
グランドキリンのIPAは期待値が高まりすぎて、やや拍子抜けだった。あと500mlの缶でも出してもらえないものだろうか……。
荒俣宏の快著のひとつ。18世紀後半から19世紀前半のたった100年あまりの短いあいだに華開いた、動植物の美しい図版入りの本たちの文化、それがどのように成立したのか、美しい図版はどのように制作され、そして、なぜ、その文化は失われてしまったのか、という歴史的なストーリーをメインに据えているのだが、掲載されている図版を眺めているだけで楽しい。本の後半部分では、西洋のこうした図版が日本の画壇に与えた影響(秋田蘭画)にも触れられており、昔興味をもっていた日本絵画における西洋絵画の技術の流入、というテーマを思い出しもする。
しかし、鹿島茂と肩を並べるビブリオマニアにしか書けない本であるなぁ……と感心させられる。本郷の古書店で、大変貴重な博物学書をものすごく安く手にいれた、というロマンティックな話も記されている(大変うらやましい)。著者自身もおすすめしているように姉妹書『大博物学時代』と一緒に読むとなおのこと楽しいし、こないだ紹介した『フンボルトの冒険』とも関連する本。
ビールとウイスキーに関する権威として知られた英国のライター、マイケル・ジャクソンがスコットランドを旅し、各地の蒸留所を訪れ、そこで見た風景、そこで出会った人について綴った紀行文、そこに彼が見た風景の写真が添えられている。本当に素晴らしい本で感動してしまった。ウイスキーに少しでも興味がある人にはぜひ手にとっていただきたい一冊。飲んだことのある(あるいはこれから飲むかもしれない)スコッチ・ウイスキーが、どんなところで作られていたのかをとてもよく伝えてくれる。
とくに写真が素晴らしい。どの風景も、どこか荒涼としている。あんまり賑やかな様子はない。山の中にぽつんと蒸留所の建物があるだけだったり、林の中を流れる川が写っているだけだったりする。しかし、ああ、あのウイスキーはこの川の水から作られているのか、とか、あの香りはこの海岸からくる風が影響しているのか、とか、想像力を刺激するような絵になっている。村上春樹の『もし僕らの言葉がウィスキーであったなら』という本があるけれど、あの本の視点をもっともっとウイスキー本体から遠くに置いて、スコットランドの自然から描き出そうとしているよう。水から、風から、土から、歴史から、人から。
読書は旅のようなもの、だと思うのだが、この本はウイスキーをめぐる旅を体験させてくれるような本だった。これからスコッチのシングル・モルトを飲むたびに、この本に登場するスコットランドの風景を思い出したい。酒を飲むたびに、旅に出られる。
余談だが、都内にお住いの方は、渋谷にこられる機会があったら、アイリッシュパブ「ダブリナーズ」に行かれると良い。カウンターに本書が置いてあるので酒を飲みながら試し読みができる(わたしはそこでこの本に出会って、その場でAmazonで注文した)。
今月はリオン・ウェア関連の旧譜ばっかり聴いてたんで、新譜はあんまり……と思っていたのだが、やっぱり結構な量をチェックしていた。
あとPrefab Sproutも聴いていた。
かなり前に山形浩生さんが紹介していた。シカゴ大学の女性経済学者が第一子妊娠を期に、妊活・妊娠・分娩に関する医学論文をとことん調べまくり、それに関して一般的に言われていること(たとえば、妊婦さんはカフェインをとっちゃいけない、だとか)がホントなのかどうかを検証する、という本。大変勉強になりました。「寿司や生卵についてあまり心配する必要はない」とか、「妊娠中に運動をしなくてもそんなに問題はない」とか、エヴィデンスをもとに「統計的にいったら、こういう判断ができるよ」ということが事細かに書いてある。
身近に妊婦さんがいたら、思わず(お節介を承知のうえで)書いてあることを教えたくなってしまう(が、それをわたしがやると大変に鬱陶しいことこのうえない存在になるだろう……)し、データを前にして著者がどういう判断を下したのかのドキュメンタリーにもなっていて面白い。「妊娠中に◯◯をすると(あるいはしないと)0.01%のリスクが発生する」という研究に対して「0.01%なら、◯◯しちゃってもいいや」という洗濯も取りうるし、逆に「0.01%のリスクがあるなら、◯◯は避けよう」という判断も取りうる。この本で著者がとった判断が絶対正しいものとして推しているわけではないのがフェアで良かった。あと単純に「実はその通説に根拠ないみたいだよ」とか教えてくれる部分は面白い。
これも復刊してない伊丹十三の著作。著者がひたすら他人から話を聞いた結果を編集して一冊の本にしている。井伏鱒二や星新一、岡本太郎といった今となってはレジェンド級の作家に「あなたの抜け毛はどうですか?(抜けてますか? どう思ってますか?)」と聞いて回ったり、また「猫派ですか、犬はですか」などと聞いてまわったりする。それが昔の新聞のような文字組で構成される。この部分はすごい悪くふざけ感が満載。そのほかは、当時の著名人・文化人に食に関するインタヴューだとか、無名の人間が体験した異常としか言えない体験談など。
食に関するインタヴューは、新入幕から2年目の輪島だとか、ミケランジェリの弟子だった日本人ピアニスト高野耀子だとか、三遊亭円生だとか、藤原歌劇団の創立者藤原義江だとか、すごい人選。また、これが聞き手がいれていく合いの手や相槌のセンス、そして聞き出した言葉を文字に落とし込むセンスが抜群で。インタヴュイーの人となりをしらなくとも、文字から音声が蘇ってくるよう。無名の人間の体験談は、単純にすごい話が載っていて凄まじい……。まとまった内容に欠けるし、すごい奇書めいたものに思えてくるのだが、伊丹十三の編集センスが爆発した一冊。
女たちよ!男たちよ!子供たちよ! (文春文庫 (131‐5))
引き続き、3年ぶりの伊丹十三強化月間。こちらは現在絶版中、比較的手に入りにくいエッセイ集。著者が体験した子育てに関する文章が中心で、後半は子育てについての鼎談を、著者、岸田秀や河合隼雄といった精神分析関係の人たち、その他作家とか学者の人、という組み合わせでおこなった記事が収録されている。一番最初に来るのは、田原節子(この当時、村上節子)と男女のセックス感覚について聞きあう対談記事。
伊丹十三がこの当時、精神分析にハマっていたのは、今となっては、古びちゃっている部分であり、ある種汚点めいた部分もあると思われる。けれども、悪い本じゃない。精神分析の言葉に寄りかかりすぎの部分はあるかもしれないが、子育てにおいても伊丹十三の言葉は、指導的であり、示唆的である、と思った。
今の育児っていうのは母親本位なんです。子供は教材なんです。子供という教材使って「母親が」どれだけいい成績とるかっていうのが育児なんです。
これである。「正しい」育児ハウトゥーを求める親たちへの批判的な発言なのだが、これは刊行から40年近くたった現在でも有効だと思われた。あと、伊丹十三がどんな父親だったか、が垣間見れるのがこの本のとても良いところ。