sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

2022年2月20日、あるいはグールドのベートーヴェン考

4時に起きる。Nightly News(2月18日分)。テーザー・ガンと実銃を間違えて黒人の青年を射殺した元警官への有罪判決が下り、懲役2年だという(ガイドラインでは7年となっているから大幅な減刑)。また粉ミルク(baby formulaという単語を覚えた)へのバクテリア混入事件があり(乳幼児が4人入院し、うちひとりが死亡)粉ミルク不足がおこっているという話もあった。

観ているうちにまた顎の調子が悪くなってくる。だんだん頭も痛くなってくる。やはりこれがすべての元凶な気がしてくる。しかし、こないだから気づいたこともあり、それは少し運動すると顎のしびれるような疲労感覚が抜けているのだ。動かないことで生まれてる全身の緊張がひょっとすると顎に集約されているのかもしれない。

読みはじめる。

朝から荒唐無稽なものを観る。しかし、宝田明が金庫破りという設定がちゃんと生きていて面白いし、セットや特撮はかなりレベル高い。1966年。エレキ・サウンドもすごい。

読了。

完全に惰性で読んでいる。

読む。

家のWiFiの調子悪い問題でネットワークレシーバーへの音声送信も途中でノイズが入るなどのストレスを感じたので、余ってたLANケーブルを発掘して有線化。

ふとグールドのベートヴェンをいろいろ聴いてみたくなり、初期のものが収録されているものから聴いていく。第1番からかなりエキセントリックだ。アダージョの遅さがとりわけグールドらしい解釈だけれども、この牧歌的ロマンティシズムが良い。ちょうどワーグナーの《ジークフリート牧歌》のピアノ編曲にも近いおだやかさ。エキセントリックであるがデモーニッシュではない。この録音はそういう感性が溢れているように思う。今日初めて聴いたがかなり好きな録音だ。録音年などを調べると、第1〜3番は70年代なかば、第15番に至っては79年と晩年の録音。ああ、なるほど、と思う。この演奏家がたどり着いていたところで遺したものだったのか、と。

このグールドの録音を吉田秀和はどういう風に評価しているのか気になって、手元にある本をめくってみたがベートーヴェンに関しては60年代までのものについて言及しているものしかなった。

ここから56年の(55年の《ゴルトベルク》の次の)ベートーヴェンの第30〜32番を確認してみる。これもまた基本的な路線はエキセントリックな解釈が目立ち(遅さと速さの驚くべき同居。とくに第30番の最終盤の息も絶え絶えな遅さ、あるいは第32番のアレグロの速度)まことにグールド的なのだが、70年代の録音と比べると粗さが目立つ。角が立った若い蒸留酒のような。ユニークだとは思うけれど「ぼくは採らない(宇野功芳)」。牧歌的なロマンティシズム、ではなく、カリカチュア化されたヴィルトゥオーゾみたいなそういう演奏にも聞こえる。20世紀前半に活躍した巨匠指揮者が重々しく演奏するブルックナーのような伸縮。グールドのこの時期の解釈を、そういう名人芸を不気味なほど極端にしたものとして捉える(仮説)。

さらに第12番(1979年)・第13番(1981年。これは81年の《ゴルトベルク》よりも後)に行ってみる。これも晩年。第12番冒頭のアンダンテなどは、途中ほとんどレントというか、牛の歩み、というか、なものすごい遅さだが、やはり牧歌的なおだやかさがある。間違いなくエキセントリックなのに、響きはナチュラル。録音技術の違いもあるが、同じ速いパッセージ、スタッカートのフレーズでも第32番の録音と比べると音にまろやかさがある。今の気分だ。

午前から駐車場の抽選会。日頃の行いが良いおかげで考えられる限り一番良い場所が取れた。

午後にAとHが買い物にでかけたので音楽を爆音で聴きながら、ひたすら読書。思うのだが、やはりヘッドフォンで音楽を聴くという行為は間違っているんじゃないか、と。かなり大きい音じゃないと、少なくとも俺は、音楽が来ない

帰ってきたHがIKEAで目覚まし時計を買ってきた。電池をいれてやると壁掛け時計を見て「いまのにして」というので、その言葉のおかしさが良かった。大体あっている。何時、っていうもんね。言語の運用から自ら語を作っているありさま。

白ワインを飲みながら聴きはじめる。これは素晴らしい。ブラスとパーカッション、アフロ・ブラジル。録音も良くて、呪術的な広がりを感じる。アナログを買っても良いかも、と思うが、なんか今レコードを買う気分じゃないからやめておく。

sekibang.hatenadiary.com

読了。

しかし、読めているが過去最大に雑に読んでる感じの時期に入ってる気がする。

 
 
 
 
 
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夕飯とともに泡盛ソーダwithレモン。

 
 
 
 
 
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Hが風呂に入ってるあいだにもう一枚描く。怪獣は難しい。