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文化的消費活動の日記

横田増生 『ユニクロ潜入一年』

『ユニクロ帝国の光と影』の続編。柳井正がインタヴューで語った「実際に現場を見てみてほしい」という挑発的な物言いをガチで受け取った著者によるUNIQLO潜入ルポタージュ(前作でファーストリテイリング(FR)からいわゆる「SLAPP訴訟」を起こされた著顛末、カンボジアや香港での海外取材も含む)。前作もかなり面白い読み物だったが、本作も素晴らしい。グローバル資本主義が国内外労働者から搾取する状況を描いたシリアスな本でありながら、50代の著者がUNIQLOの店舗でアルバイトをイチから学ぶ、という途方もなく面白い状況が伝えるユニークさを持つ。おじさんから時折漂うペーソスめいたものもたまらなく良いし、なにより、著者が精一杯働いているのが伝わってくるのが良い。UNIQLOの店舗で働く大変さを伝えつつも、著者はその仕事のなかに面白さも見つけている。文庫版で新たに付け加えられたFRの株主総会への出席レポートも痛快だ。

随所に挟まれる経営者・柳井正への批判は、はっきり言ってラヴレターのようにも読めてしまう。鋭く批判しながらもそこには愛があるんじゃないか、と。批判、というよりも愛のあるツッコミなのかもしれない。とく感謝祭のノヴェルティの絡みのツッコミは秀逸!