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文化的消費活動の日記

ガブリエル・ガルシア=マルケス 『生きて、語り伝える』

ガルシア=マルケスの自伝……と言っても、本文が600ページ超というなかなかの大著にもかかわらず、語られているのは20代後半まで、ジャーナリストとしての仕事を本格化させるまでで彼の主要な作品が書かれる時代にはまったく触れられていない……のだが、その体験の至るところに彼が物語のなかに取り込んだエピソードが紛れ込んでいる。破格の自伝、とも言えるだろう。というのも、冒頭から100ページぐらいは自分が生まれる前の祖父母、そして父母の話に費やされているのであって、ただ、それが矢鱈滅法面白いのだから困ってしまう。コロンビアの政治状況が不安定になる時代が語られるようになると雰囲気が変わってくるのだが、少年期・青年期のはじめの頃のエピソードは、これぞマジック・リアリズム、魔術的現実、ヨッ、ノーベル文学賞作家、的な「さすがにこれは盛り過ぎだろう」、「そんなまさか」の連続に大笑いしてしまった。