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文化的消費活動の日記

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会』

庵野秀明が1993年末に刊行した富野由悠季の劇場作品「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」(1988年公開)に関する同人誌を復刻したもの。100ページちょっとで3300円とかするのだが、富野由悠季ファンのみならず、庵野秀明ファンも読むべき内容。すごく濃かった。

本書に収録された庵野による富野由悠季インタヴューの内容はインターネットで読めたりするのだが「逆シャア」に参加したスタッフやアニメ業界関係者の語りには、本書刊行から30年近く経過した今なお、通じている(というか、深刻化しているのかもしれない)アニメーション業界の問題が提起されている部分があり面白い。押井守が語る実写に対するアニメーションのコンプレックス、あるいはアニメーションは結局は玩具メーカーの宣伝媒体でしかない(自分の足で立つ芸術媒体ではない)という認識は、あらためてそういうものとして認識されるべきものであろうし、山賀博之が語った「アニメブームだ、とか言いながら、本当は「ガンダム」しかない。ガンダム以降のロボット・アニメは全部「ガンダムの気分」をやってるだけ」みたいな話は、直接的にエヴァンゲリオンに繋がっているように読める(復刻にあたって庵野秀明が寄せた文章でもそのような旨が語られている)。

ガンダムに関しては富野由悠季が関係しているガンダム以外、ビタイチ興味がないのだが、それで良いんだ! みたいに開きなれる内容でもある。読み終えて今「イデオン」のTVシリーズを見直したい気持ち。