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文化的消費活動の日記

坂口恭平 『生きのびるための事務』

坂口恭平の新刊。Webの連載漫画が書籍化されたもの。内容を平板化するならば、タイムマネジメントと逆算思考のようなメソッドが説かれた本、ということになるのだが、他人の評価、もう少し言えば、資本主義的なロジック、あるいは他人を自分と比較して評価することから解放されて、迷わず、好きなことをしつづけよ、という『継続するコツ』でも説かれたメッセージが通底している。好きな「仕事」をするために会社を設立するくだり、このあたりは自分も自分のための合同会社をもっていることもあって、かなり共感して読めたし、実感を伴って読める。

そういってもなにを「仕事」にすればよいのか、という話なのかもしれない。自らの特異性に向き合うやり方。あまりにもそれを学んでいない自分(たち)に気づきもする。「●●は義務教育で学ばせるべき」という話法がある。たとえば投資や、プログラミング。社会化された仕事、つまりは、社会(会社)に従って生きるようなやり方、にひもづくような事柄ばかりだ。基礎ではなく応用の話であることばかりか、本当にそれは生きのびるために必要な知識なんだろうか。生きのびること、サヴァイヴァルすること、その力はもっと別なところにありそうだ。「自分の仕事」。それがなにかを探さなくてはいけないし、探す手助けをしなくてはならない。

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