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文化的消費活動の日記

ジェフ・ジョーンズ ゲーリー・フランク 『ドゥームズデイ・クロック』

 

ドゥームズデイ・クロック (ShoPro Books)

ドゥームズデイ・クロック (ShoPro Books)

 

ウォッチメン』の正統的続編。のっけから「え、コイツ、『ウォッチメン』で死んでたじゃん?!」というキャラクターが登場してどうなってんだ!?と驚かされるが、そんなものは序の口に過ぎず、バットマンやスーパーマンがいるDCユニヴァースとウォッチメン世界が接続されるとどんどんややこしさは加速、終盤になるとドクター・マンハッタンの存在がDCユニヴァースの歴史再編の要因となるメタフィクション要素も入ってくる。すごい、としか言いようがないが、すごい熱量をもって壮大な内輪ネタをやっている、とも言える。

巻末に詳細な解説も付いているので初学者向けのサポートも手厚いが、DCコミックスの諸々を押さえた上級者(有段者)向けの内容。ウォッチメン世界と接続されたDCユニヴァースには、昨今の世界情勢が色濃く反映されており(2017-2019年にオリジナルは刊行されていた)、プーチンは顔出しで出てくるし、習近平やネタニヤフは名前だけ実名で出てくる。一方でアメリカ大統領は顔も名前も出ない(が、Twitterはやってる)。このバランス感覚に、ムハンマド肖像画の禁止を連想してしまった。