sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

増田薫 『いつか中華屋でチャーハンを』

漫画のことはあまりこのブログに記録していないし、あんまりWebに掲載されている漫画の書籍化みたいなのも好きじゃない(し、コミック・エッセイみたいなのも苦手)なのだけれど、この本はとても良かった。思い出野郎Aチームのサックスの人が描いている、日本のあちこちにある中華料理店にある定番メニュー(ラーメンとかチャーハンとか)以外のものを探求しまくる内容なのだが、ときに特定の地域で独自進化したメニューを歴史的に掘り下げたりもしていて、ちょっとした食文化探求の本になっている。なにより健康維持のために徒歩で店舗をめぐっていく様子には、情熱を超えた狂気を感じる。それから「町中華」みたいな言葉が使われていないのも良い(これもめちゃくちゃ苦手な言葉だ。日常に存在していたものをカルチャーの言葉で再定義し、再度カルチャーのなかで消費しようとするところに嫌さを感じる。「一周回って町中華って良いよね」的な言葉の嫌さ! 回るな!!)。読んでると昼間から中華料理で小皿料理を頼みながら瓶ビールを飲みたくなってくる。急に絵柄が藤子不二雄みたいになったり、美味しんぼみたいになるところもすごく好き。