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文化的消費活動の日記

松原岩五郎 『最暗黒の東京』

明治時代のジャーナリストが当時の東京の貧民窟を取材した実録ルポ。文章が現代文じゃないのでかなり読みにくい部分もあるのだが、かなり壮絶なことが書かれていて面白い。たとえば都内の木賃宿では15畳ぐらいの大きめのワンルーム(とは言わないだろうが……)に銘々衝立などを立てて3〜5世帯が同居していて、そこには夜、さらに客を入れて寝かせていた……みたいなことが書いてある。相当なものだが不思議と悲壮感がないのは、エネルギーに満ちまくっていた時代だったからなのかも。どうやらこの当時から東京=眠らない街、だったようで、吉原とかの色街で遊ぶ旦那方の移動のため車夫が夜通し走っていた、とある。その車夫たちに食事を提供するのにいろんな屋台で賑わっていたらしい。

(なお、巻末の解説を坪内祐三が書いてるとAmazonでは紹介されているのだがKindle版には収録されておらず……Amazonに問い合わせたらギフト券で返金があった)

2023/2/27追記: Amazonとあわせて講談社にも問い合わせていたところ、1ヶ月以上経って返信があり、Kindle版リリース時の不備とのことで収録されていなかった坪内祐三の解説も追加して再配信されると連絡をもらった)