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文化的消費活動の日記

坂口恭平 『その日暮らし』

2023年に西日本新聞上に掲載された連載をもとにした本。坂口家の家族、とくに子供たちとの関係性について大きくとりあげられている。窮屈に生きないこと。後期のラカン、というか、ジャック=アラン・ミレールによる後期ラカンの解釈につなげるならば、「症状への同一化」、つまりは自らの特異性を受け入れ、享楽せよ! というメッセージへと帰結していくようだが、連載の終盤、鬱のなかで綴られた文章のなかで直面する欠落、「寂しさ」、その深刻さに共感もする。家族もいる、友達もいる、けれども、寂しい。すごくよくわかる。