sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

デレク・ベイリー 『インプロヴィゼーション: 即興演奏の彼方へ』

 

デレク・ベイリーが1974年にBBCのラジオ番組でおこなったインタヴューをもとにした本。インタヴュー対象者は、インドの伝統音楽の奏者、スパニッシュ・ギター、ロック・ギタリスト(スティーヴ・ハウ!)、古楽のオルガン奏者、現代音楽の作曲家、ジャズ・ミュージシャン、そしてベイリーと活動をともにした演奏家たち、と「即興」というキーワードで関連しながらも、まったく違った音楽ジャンルの人々が登場する。基本的には、歴史の本、あるいは比較音楽学的なものとして読むことができ、すべての音楽が即興としてはじまったであろうところから、エクリチュールによって固定化された西洋のクラシック音楽が生まれ、その18世紀から19世紀における進化、からの20世紀におけるエクリチュールからの脱却、再度の即興化、という流れを相対化して眺めることができるのは、本書の一つの主要なトピックだろう。面白い本か、っていうと、そこまで面白くない。ノンイディオマティックな即興演奏に関しての記述も残された録音からわかること以上のことがない気がする。