単行本ヴァージョンでもあまりの明晰さに大きな感銘をうけた「シン・ラカン入門」的な著作が文庫化されてさらに良くなっている印象を受けた。文庫化にあたって第5章・第6章は大幅に書き換えられているそう。ちょっと読み比べてみたが、説明の順番が入れ替えられている部分にいろいろと気づく。事細かに単行本と文庫の差異を確認したわけではないのだが、ファルス、エディプス・コンプレックス、また60年代以降のラカンのトピックについての説明はより平易になっていると思った。すごい。
この本が出たタイミングも良いと思う。仮に「現代思想」的な読み物の世界に入っていきたい高校生が目の前にいるならば、いま、こんな読書案内ができるんじゃないか。まずは初手『現代思想入門』。
そこから同じ「入門書」的なものとして語り口が違う『構造と力』。
この2冊で読者には現代思想的な世界観の基本ができているはずだ。そこで各論としてこの『ゼロから始めるジャック・ラカン』に入っていく。こういう読み方ができるだろう。
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