sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

大野盛雄 『イラン農民25年のドラマ』

イラン農民25年のドラマ (NHKブックス) 作者:大野 盛雄 日本放送出版協会 Amazon 積ん読の古層から発掘された本(買ったのは多摩センターに昔あったブックオフの100円本コーナーだった。なんか創作のネタになるか思って買ったことを覚えている)。著者は人文…

村上春樹を英語で読み直す 『国境の南、太陽の西(South of the Border, West of the Sun)』

South of the Border, West of the Sun 作者:Murakami, Haruki Random House UK Ltd Amazon 村上春樹を英語で読み直したのはこれで5作品目。日本語で初めて読んだのが20歳(ひょっとしたらまだ10代だった可能性もある)ぐらいだと思うので、これまで読み直し…

富野由悠季 『富野に訊け!!』

富野に訊け!! (アニメージュ文庫) 作者:富野由悠季 徳間書店 Amazon 自分より10歳以上若い人に薦めたい人生指南の書のリストを作るなら(伊丹十三の本をまず挙げたいのだが)富野由悠季が人生相談の回答者になっているものをまとめた本書も新たに加えたい…

神谷俊 『遊ばせる技術: チームの成果をワンランク上げる仕組み』

遊ばせる技術 チームの成果をワンランク上げる仕組み 作者:神谷 俊 日本経済新聞出版 Amazon 自走力・自律性が高いメンバーを増やすマネージャーの振る舞いや、そのようなメンバーを育てるための組織設計に関する本。Covit-19によるテレワークへの移行にとも…

アダム・タカハシ 『哲学者たちの天球: スコラ自然哲学の形成と展開』

哲学者たちの天球―スコラ自然哲学の形成と展開― 作者:アダム・タカハシ 名古屋大学出版会 Amazon アリストテレスの自然哲学(≒ 近代科学以前に営まれていた、現代の自然科学的な学問領域)がアラビア世界を通じて中世のキリスト教世界に受け継がれ、さらに初…

ケヴィン・ケリー 『テクニウム: テクノロジーはどこへ向かうのか?』

テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか? 作者:ケヴィン・ケリー みすず書房 Amazon 以前、栗林さんの日記で言及されていた本。例によってどんな本かまったく調べずに買い読み始めたのだが、タイトルからテクノロジーの将来像を想像するような内容を予…

『成田亨作品集』

成田亨作品集 作者:成田亨 羽鳥書店 Amazon ウルトラマンをデザインした成田亨の作品を特撮関連だけでなく、純粋芸術も含めて網羅的に掲載している。かなり高価な本だが、戦後の日本美術の文脈のなかに成田亨を位置づける学芸員や批評家の文章も面白く、ウル…

吉川浩満 『哲学の門前』

哲学の門前 作者:吉川浩満 紀伊國屋書店 Amazon まさに哲学の門前で知的な営みをするエッセイ集。

仲正昌樹 『ヘーゲルを越えるヘーゲル』

ヘーゲルを越えるヘーゲル (講談社現代新書) 作者:仲正昌樹 講談社 Amazon 学生時代にアドルノで卒論を書いたり、今もラカンのつながりがあったりで、トライせねば、みたいなことを常々課題として感じているのだが読んでも全然わかった気にならない、それが…

『哲学者たちの天球: スコラ自然哲学の形成と展開』をご恵投いただきました!

View this post on Instagram A post shared by mstk (@mk_sekibang) アダム・タカハシさんの単著『哲学者たちの天球: スコラ哲学の形成と展開』をご恵投いただきました。ありがとうございます。ギリシアの知がアラビア世界を通じて中世のキリスト教世界に受…

『図解即戦力 ビッグデータ分析のシステムと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書』

図解即戦力 ビッグデータ分析のシステムと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書 作者:渡部 徹太郎 技術評論社 Amazon 仕事で分散処理とかデータ分析基盤の話をしていて、ちゃんと勉強したくなって手を付けたもの。著者の業務経験をベースにしながら、アーキ…

世阿弥 『風姿花伝・花鏡』

風姿花伝・花鏡 (タチバナ教養文庫) 作者:世阿弥 たちばな出版 Amazon 15世紀前半に成立した世阿弥による能に関する書物。本書には、父の観阿弥に教えられたことをまとめたもの(『風姿花伝』)、能の制作についてのHow To(『能作書』)、世阿弥が中年から…

『図解即戦力 情報セキュリティの技術と対策がこれ1冊でしっかりわかる教科書』

図解即戦力 情報セキュリティの技術と対策がこれ1冊でしっかりわかる教科書 作者:中村 行宏,若尾 靖和,林 静香 技術評論社 Amazon 「ゼロトラスト」とか言葉は知ってるけどちゃんと理解したいな〜、という気持ちになり購入したが本書でゼロトラストネットワ…

吉川浩満 『理不尽な進化: 遺伝子と運のあいだ 増補新版』

理不尽な進化 増補新版 ――遺伝子と運のあいだ (ちくま文庫) 作者:吉川浩満 筑摩書房 Amazon ダーウィンの進化論、という言葉を知らない人はまずいないと思うのだけれど、本書はその進化論にまつわる(間違った一般)常識を丁寧に正しながら、歴史記述の方法…

『富野由悠季の世界』

富野由悠季の世界 キネマ旬報社 Amazon www.kinejunshop.com 先日、青森県立美術館のショップで買い求めた『富野由悠季の世界』展の図録。展覧会自体は2019年〜2022年まで全国の美術館を巡回しており、この図録自体もわたしが持っているもので4刷となってい…

細野晴臣 『細野晴臣インタビュー THE ENDLESS TALKING』

細野晴臣インタビュー THE ENDLESS TALKING (平凡社ライブラリー) 作者:細野 晴臣 平凡社 Amazon 編者・聞き手は北中正和。1991年から開始された細野晴臣へのロングインタヴューをまとめ、1992年に刊行されている。いまから30年前。細野晴臣もまだ40代の半ば…

James Stanier 『エンジニアリングマネージャーの仕事: チームが必要とするマネージャーになる方法』

エンジニアリングマネージャーのしごと ―チームが必要とするマネージャーになる方法 作者:James Stanier オライリージャパン Amazon 類書である『リーダーの作法』よりもHowTo/実践的なナレッジに富んでいて、スケジュールやタスクの管理方法(他人にとにか…

吉田秀和 『私の好きな曲』

私の好きな曲―吉田秀和コレクション (ちくま文庫) 作者:吉田 秀和 筑摩書房 Amazon 吉田秀和がひたすら好きな曲について詳しく解説していく文章を集めている。有名曲ばかりではなくヤナーチェクのオペラやヴォルフの歌曲などほんとうに個人的な偏愛曲のよう…

ニコラ・フルリー 『現実界に向かって: ジャック=アラン・ミレール入門』

現実界に向かって: ジャック=アラン・ミレール入門 作者:フルリー,ニコラ 人文書院 Amazon ジャック=アラン・ミレール。ラカンの著作に触れようとする多くの人々がその名前を当たり前のように知っている(「セミネール」シリーズの編者であり、娘婿であり、…

東畑開人 『心はどこへ消えた?』

心はどこへ消えた? (文春e-book) 作者:東畑 開人 文藝春秋 Amazon 著者は臨床心理士。日々のカウンセリング業務から生まれたエピソードや大学の仕事、時事ネタから心のあり方、問題について綴ったエッセイ集。まったく本の内容を知らずにタイトルだけから「…

スラヴォイ・ジジェク 『イデオロギーの崇高な対象』

イデオロギーの崇高な対象 (河出文庫) 作者:スラヴォイ ジジェク 河出書房新社 Amazon ひさびさにややこしめな本に取り組む。ジジェクの主著のひとつ。マルクス、ラカン、ヘーゲル(そしてドイツ観念論)を基軸にして、ときに映画や文学の例をまじえながら進…

ロラン・バルト 『ロラン・バルトによるロラン・バルト』

ロラン・バルトによるロラン・バルト 作者:ロラン・バルト みすず書房 Amazon 1975年に刊行されたバルト自身によるロラン・バルト入門的な一冊。「わたし」、「彼」、ときには「あなた」と人称を切り替えながら、自らのテクストで使われている概念の解説であ…

マイケル・ロップ 『リーダーの作法: ささいなことをていねいに』

リーダーの作法 ―ささいなことをていねいに 作者:Michael Lopp オライリージャパン Amazon 著者は数々の有名テック企業でマネジメント経験を持つ人物。エンジニアのチームにおけるリーダーシップについて書かれた本だけれど、とくに業界を限定せずに読める本…

鴨長明 『方丈記』

方丈記 (ちくま学芸文庫) 作者:鴨 長明 筑摩書房 Amazon 平安時代の末期から鎌倉時代を生きた人物、鴨長明による随筆。このちくま学芸文庫版は原文を通しで読ませるパートを独立させ、それに加えて、原文を適当な段落で切って、訳を挟み、さらには詳細な解説…

小西甚一 『古文の読解』

古文の読解 (ちくま学芸文庫) 作者:小西 甚一 筑摩書房 Amazon 古文の教養を身につけたい! と思って読む。軽く通読しただけなのでなにかが身についた感じは一切ないのだが、平安時代の暮らしぶりなどは普通に知らなかったことが多く勉強になる。本書でも問…

細野晴臣 『とまっていた時計がまたうごきはじめた』

細野晴臣 とまっていた時計がまたうごきはじめた (平凡社ライブラリー0890) 作者:細野 晴臣 平凡社 Amazon ここ最近『分福茶釜』を読み返したりしていて、あらためて細野晴臣の関連著作を読んでみようと思っていたのだった。本書は2012年7月から2014年6月に…

ロラン・バルト 『明るい部屋: 写真についての覚書』

明るい部屋―写真についての覚書 作者:ロラン バルト みすず書房 Amazon ロラン・バルトの最晩年(と言っても彼の場合、事故死なので自分の死を意識して書かれた本ではない、ただ、本書にはバルトがずっと一緒に暮らしていた母の死の影響が大きくある)に書か…

横田増生 『ユニクロ潜入一年』

ユニクロ潜入一年 (文春文庫) 作者:横田 増生 文藝春秋 Amazon 『ユニクロ帝国の光と影』の続編。柳井正がインタヴューで語った「実際に現場を見てみてほしい」という挑発的な物言いをガチで受け取った著者によるUNIQLO潜入ルポタージュ(前作でファーストリ…

北村紗衣 『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード: ジェンダー・フェミニズム批評入門』

お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード ジェンダー・フェミニズム批評入門 (文春e-book) 作者:北村 紗衣 文藝春秋 Amazon 間違いなく、いま最も生産的な書き手の一人であろう著者の新刊。「プロローグ」によれば、いろんな雑誌やメディアに掲載された文章を集…

トマス・ピンチョン 『V.』

V.〈上〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 新潮社 Amazon V.〈下〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 新潮社 Amazon トマス・ピンチョン、1963年発表の処女長編を新訳で読む(旧訳は学生時代に読…